
千葉優作『あるはなく』
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北海道在住の歌人・千葉優作さんの第一歌集です!
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たましひが一尾の鮭にかへるまで言葉の滝を見上げてゐたい
生まれてしまったという原初的な感覚はなくなることはないだろう。けれど、これらの歌のように、その苦を言葉によって反転させ生きる力を得ることができる。・・・江戸雪「栞」より
何もない風景に意味を持たせ、ひとが立ち止まることのない風景に立ち止まらせ、世界の美しさや不思議さ、また、不条理さを表現するために、わたしは短歌を詠んできたのではなかったか、と初心に返る思いになる。・・・大塚亜希「栞」より
「あるはなく」に象徴されるこの世の無情と、彼自身の身めぐりの悲しみや孤独を吐露する器として、この歌集は生まれたのかも知れない。・・・大森千里「栞」より
(青磁社)
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北海道在住、2020年に北海道新聞短歌賞佳作も受賞されている、千葉優作さんの第一歌集『あるはなく』。
タイトルは
あるはなくなきは数添ふ世の中にあはれいづれの日まで嘆かむ
という、新古今和歌集・小野小町からの引用。
かつていた人はいなくなり、なくなる人も増える世の中で、いつの日まで私は嘆くのか、という無常を詠んだ歌です。
この歌集でも、命や、失われるものへの悼みや無常観が、文語で、かつ現在に届く形で歌われています。
みづたまりだつた窪みのあらはれて路上に消えてあるみづたまり
たんぽぽのやうに暮らしちゃだめですか三万人が自死する国で
消えてある、死の中で生きる、という「ある」と「なく」という二面の等価性も特徴的です。
ガガーリン以後に生まれてこの星の青さを信じゐし幼き日
ハンガーは何も言はずに吊るされてかくも静かな労働がある
人類初の宇宙飛行をしたガガーリン、そこにあるだけという労働など、二極間を揺らぐ視点は、時間や労働の中にも向けられています。
カーラジオから流れくる Time to say goodbye アクセルを踏め
ひとはみな痛みに弱い鮭だから泣きながら思ひ出をさかのぼる
ただの無常の傍観者ではなく、痛みを引き受けながらも逆らう、秘めたる熱さ。
あの夏のきみにまつはる思ひ出のすべてが夏の季語だったこと
あやまちのやうに夢から覚めてをりわがたましひは鳥にあづけて
また、喪失感の中にも溢れるロマンチシズムや、言葉や情景の美しさも魅力。北海道独特のワードも散りばめられています!
是非、ご一読下さい。(よ)
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