
【サイン入り】佐々木朔『往信』
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佐々木朔さんの第一歌集『往信』。
春のことは春に思えばよいことは分かりそれでもきみが欲しいよ
雨のなか電車はすこし遅れだす 席にすわって文庫をひらく
あだ名だけ教えてほしい今ここで作ったやつでかまわないから
あっさりと素朴なことを描いているようで、一つ一つの言葉が抒情性や痛み、美しさを豊かに孕む印象を受けます。
自動車の窓から煙草を投げ捨てた瞬間の人間と目が合う
ハッピーのほうが歩いてきたようなハッピーエンドで映画が終わる
これ以上言えばこわれるぼくたちの間にシークワーサーサワー
何か言葉の戯れや発見を描いたようで、どこか冷静さを残した視点は、アウトラインを切りそろえたような潔癖さも感じさせます。
ひのくれのひとよひとよにひとかしてみごろしにするなんてわけない
落ち込んだわたしを乗せてつぎつぎに橋をわたってゆく市営バス
ぼくたちのするべきことはすでになく海に面した窓をひらいた
単なるモチーフや描写を越えた先で深く、広く拡張された言葉達が、時に神秘性や、人や世界の核心を剥き出しにしてしまうような所まで届き、輝きを湛えているようにも感じました。
感傷にひたってそれが済んだなら薔薇色の生活をつづけて
美しさ、痛みや抒情、それらを覆うような温かな目線が隅々に満ちた歌集。じっくりと浸ってほしい1冊です。
(よ)
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朗読をかさねやがては天国の話し言葉に到るのだろう
ぼくの街、森、湖辺(うみべ)から
きみの駅、埠頭、観覧車へと
連絡橋を渡っていく切手たち。そして鳩。
──────飛浩隆
【収録歌より】
はるのゆめはきみのさめないゆめだからかなうまでぼくもとなりでねむる
いちめんに銀杏つぶれラブコメの最後はかならずラブが勝つこと
関係を名づければもうぼくたちの手からこぼれてゆく鳳仙花
にしんそばと思った幟はうどん・そば 失われたにしんそばを求めて
香港の十分おきに雨が降る映画のなかの雨の香港
【栞】
川野芽生「過誤に殉じて」
榊原紘「あこがれ」
平岡直子「風穴」
【著者プロフィール】
佐々木朔(ささき・さく)
1992年生まれ。神奈川県横浜市出身。早稲田短歌会を経て、現在「羽根と根」同人。
(書肆侃侃房)
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