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小島なお『乱反射』
¥1,540
−−− 現代短歌クラシックス12 何ひとつ知りすぎたことないままにわれは二十歳になってしまいぬ 現代短歌新人賞と駿河梅花文学賞をW受賞し、映画化もされた小島なおの第一歌集が新装復刊。 【収録歌より】 こころとは脳の内部にあるという倫理の先生の目の奥の空 もう二度とこんなに多くのダンボールを切ることはない最後の文化祭 講堂で賛美歌うたう友達のピアスの穴を後ろから見る 噴水に乱反射する光あり性愛をまだ知らないわたし なにもないこともないけどなにもない或る水彩画のような一日 【著者プロフィール】 小島なお(こじま・なお) 1986年、東京生まれ。青山学院高等部在学中に短歌を作り始める。2004年、角川短歌賞受賞。歌集に『乱反射』(現代短歌新人賞、駿河梅花文学賞)、『サリンジャーは死んでしまった』、『展開図』。千葉聡との共著『短歌部、ただいま部員募集中!』(岩波書店)。日本女子大学講師。信濃毎日新聞歌壇選者。 (書肆侃侃房)
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五島諭『緑の祠』
¥1,650
現代短歌の重要な歌集を復刊、新装版として刊行する、 書肆侃侃房の〈現代短歌クラシックス〉シリーズ。 --- 海に来れば海の向こうに恋人がいるようにみな海をみている 「新鋭短歌シリーズ」での初版刊行からちょうど10年。『緑の祠』以後の作品を増補し、五島諭の全短歌作品を集成した一冊。 「『緑の祠』に、高校の教員になったばかりのころの作品を加えた今回の改訂をもって、短歌の近くに身を置いた時代に、一区切りついたと感じている」(新装版のあとがきより) 【収録歌より】 ミュージックビデオに広い草原が出てきてそこに行きたくなった 物干し竿長い長いと振りながら笑う すべてはいっときの恋 怪物もきれいなほうがいいなあと夕陽に向かってかざす羽箒 身の丈に合わない品はかなしむに足る身の丈に合わない品は 栗の花蹴散らしながら行く道のどこかに君はいないだろうか 【著者プロフィール】 五島諭(ごとう・さとし) 1981年生まれ。2000年早稲田短歌会入会。 同人誌「pool」、ガルマン歌会で活動。 (出版社:書肆侃侃房)
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内山晶太『窓、その他』
¥1,760
現代短歌の重要な歌集を復刊、新装版として刊行する、 書肆侃侃房の〈現代短歌クラシックス〉シリーズ。 --- 思い出よ、という感情のふくらみを大切に夜の坂道のぼる 日々の労働と都市で生きる者の日常。他人からすればどうでもよいかもしれない、ただ、見過ごせないことやもの。 静かな内省を基底におきながら、希望と祈りが自然とわきあがる。 現代歌人協会賞を受賞した第一歌集、待望の新装版! 【収録歌より】 たんぽぽの河原を胸にうつしとりしずかなる夜の自室をひらく 口内炎は夜はなひらきはつあきの鏡のなかのくちびるめくる 少しひらきてポテトチップを食べている手の甲にやがて塩は乗りたり 湯船ふかくに身をしずめおりこのからだハバロフスクにゆくこともなし わが胸に残りていたる幼稚園ながれいでたりろうそくの香に 【著者プロフィール】 内山晶太(うちやま・しょうた) 1977年、千葉県生まれ。1998年、第13回短歌現代新人賞。2012年、第一歌集『窓、その他』(六花書林)を刊行。翌年同歌集にて第57回現代歌人協会賞。「短歌人」編集委員。「外出」「pool」同人。現代歌人協会理事。 (出版社:書肆侃侃房)
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渡辺松男『寒気氾濫』
¥1,760
現代短歌の重要な歌集を復刊、新装版として刊行する、 書肆侃侃房の〈現代短歌クラシックス〉シリーズ。 --- 【収録歌より】 橋として身をなげだしているものへ秋分の日の雲の影過ぐ つくづくとメタフィジカルな寒卵閻浮提(えんぶだい)容れ卓上に澄む キャベツのなかはどこへ行きてもキャベツにて人生のようにくらくらとする 背を丸め茂吉いずこを行くならん乳房(にゅうぼう)雲(うん)はくろぐろとくる 赤ん坊花びらのような声を呑みはじめての重き月を見にけり 樹は内に一千年後の樹を感じくすぐったくてならない春ぞ 【著者プロフィール】 渡辺松男(わたなべ・まつお) 一九五五年五月、群馬県伊勢崎市生まれ。前橋高校を経て東京大学文学部卒。 歌集に『寒気氾濫』『泡宇宙の蛙』『歩く仏像』『けやき少年』『〈空き部屋〉』『自転車の籠の豚』『蝶』『きなげつの魚』『雨る』。句集に『隕石』。 現代歌人協会賞、ながらみ現代短歌賞、寺山修司短歌賞、迢空賞を受賞。「歌林の会」会員。 (出版社:書肆侃侃房)
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千葉聡『微熱体』
¥1,650
現代短歌の重要な歌集を復刊、新装版として刊行する、 書肆侃侃房の〈現代短歌クラシックス〉シリーズ。 --- 高校教師「ちばさと」が贈る青春歌集、待望の復刊! 多感な高校生の心を31文字に託して謳う。この歌集のどこかにきっと、等身大のあなたが散りばめられているに違いない。 【収録歌より】 だぶだぶの闇をたたんでゆく波の音が二人に染みこんで、朝 明日(あす)消えてゆく詩のように抱き合った非常階段から夏になる よく揺れるピアノの譜面台に棲(す)む傷も光もぬるい液体 【著者プロフィール】 千葉 聡(ちば・さとし) 1968年、神奈川県生まれ。高校教諭。 1998年、第41回短歌研究新人賞受賞。歌集に『飛び跳ねる教室』『今日の放課後、短歌部へ!』『短歌は最強アイテム』『グラウンドを駆けるモーツァルト』、小説に『90秒の別世界』、共編著に『短歌タイムカプセル』、編著に『短歌研究ジュニア はじめて出会う短歌100』などがある。歌人集団「かばん」会員。國學院大學、日本女子大学の兼任講師。 (出版社:書肆侃侃房)
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盛田志保子『木曜日』
¥1,540
現代短歌の重要な歌集を復刊、新装版として刊行する、 書肆侃侃房の〈現代短歌クラシックス〉シリーズ。 --- 2003年刊行の第一歌集を新装版として復刊。 未発表を含む「卓上カレンダー」(36首)を追加収録。 【歌集より】 口に投げ込めばほどけるすばらしきお菓子のような疑問がのこる 雨だから迎えに来てって言ったのに傘も差さず裸足で来やがって きみが身に纏いしものはなにもかもこの世のものなり 北風の勝ち ひらがなはたぐいまれなる 空中にぽっかり浮いて静止する言語 春の日のななめ懸垂ここからはひとりでいけと顔に降る花 しみこんでくる夕闇の明るさよ田舎とは透明ということ 【著者プロフィール】 盛田志保子(もりた・しほこ) 1977年岩手県生まれ。2000年、『短歌研究』が行なった短歌コンクール「うたう」において、「風の庭」50首で作品賞を受賞。2003年、第一歌集『木曜日』(BookPark)刊行。2005年、随想集『五月金曜日』(晶文社)刊行。未来短歌会所属。 (出版社:書肆侃侃房)
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佐藤弓生『世界が海におおわれるまで』
¥1,540
現代短歌の重要な歌集を復刊、新装版として刊行する、 書肆侃侃房の〈現代短歌クラシックス〉シリーズ。 --- 【歌集より】 秋の日のミルクスタンドに空瓶のひかりを立てて父みな帰る とうめいなかかとのかたち天空も公孫樹の黄(きい)を踏んでみたくて 風鈴を鳴らしつづける風鈴屋世界が海におおわれるまで 白の椅子プールサイドに残されて真冬すがしい骨となりゆく 革装の書物のように犀は来て「人間らしくいなさい」と言う 「夢といううつつがある」と梟の声する ほるへ るいす ぼるへす 【著者プロフィール】 佐藤弓生(さとう・ゆみお) 1964年、石川県生まれ。2001年、第47回角川短歌賞受賞。著書に歌集『眼鏡屋は夕ぐれのため』『薄い街』『モーヴ色のあめふる』、詩集『新集 月的現象』『アクリリックサマー』、掌編集『うたう百物語』、共編著『短歌タイムカプセル』などがある。歌人集団「かばん」会員。 (出版社:書肆侃侃房)
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正岡豊『四月の魚』
¥1,540
現代短歌の重要な歌集を復刊、新装版として刊行する、 書肆侃侃房の〈現代短歌クラシックス〉シリーズ。 --- 1990年の初版刊行から30年。 未発表を含む「風色合衆国」(40首)を追加収録。 【歌集より】 夢のすべてが南へかえりおえたころまばたきをする冬の翼よ きみがこの世でなしとげられぬことのためやさしくもえさかる舟がある 無限遠点交わる線と線そこにひっそりときみのまばたきがある さかなへんの字にしたしんだ休日の次の日街できみをみかけた 風に問わば風がこたえる約束をまもれはるかなライト兄弟 みずいろのつばさのうらをみせていたむしりとられるとはおもわずに 【著者プロフィール】 正岡豊(まさおか・ゆたか) 1962年大阪市此花区で生まれる。1980年頃より作歌をはじめる。1990年歌集『四月の魚』刊行。1992年別名義で第5回俳句空間新人賞受賞。2000年『四月の魚』再販刊行。2004年「短歌ヴァーサス」6号に「四月の魚」補遺とともに収載。現在京都在住。 (出版社:書肆侃侃房)
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石川美南『砂の降る教室』
¥1,650
現代短歌の重要な歌集を復刊、新装版として刊行する、 書肆侃侃房の〈現代短歌クラシックス〉シリーズ。 --- 第一回塚本邦雄賞(2020年)を受賞した著者の原点、 23歳のときに発売された『砂の降る教室』を17年ぶりに新装版として刊行します。 【歌集より】 カーテンのレースは冷えて弟がはぷすぶるぐ、とくしやみする秋 とてつもなく寂しき夜は聞こえくる もぐらたたきのもぐらのいびき みるくみるくはやく大きくなりたくて銀河の隅で口を開けをり 想はれず想はずそばにゐる午後のやうに静かな鍵盤楽器 窓がみなこんなに暗くなつたのにエミールはまだ庭にゐるのよ くすくすくすくすの木ゆれて青空を隠すくす楠の木ひとりきり 【プロフィール】 石川美南(いしかわ・みな) 神奈川県横浜市に生まれる。同人誌poolおよび[sai]の他、さまよえる歌人の会、エフーディの会、橋目侑季(写真・活版印刷)とのユニット・山羊の木などでふらふらと活動中。2020年3月、5冊目の歌集『体内飛行』刊行。その他の歌集に『裏島』、『離れ島』『架空線』がある。最近の趣味は「しなかった話」の蒐集。 (出版社:書肆侃侃房)
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飯田有子『林檎貫通式』
¥1,650
現代短歌の重要な歌集を復刊、新装版として刊行する、 書肆侃侃房の〈現代短歌クラシックス〉シリーズ。 記念すべき第一弾は、フェミニズムの文脈でも再評価著しい『林檎貫通式』。 まさに、今の時代に読まれるべき歌集です! 第一歌集以後の新作「宇宙服とポシェット」(135首)も収録。 【歌集より3首】 婦人用トイレ表示がきらいきらいあたしはケンカ強い強い たすけて枝毛姉さんたすけて西川毛布のタグたすけて夜中になで回す顔 女子だけが集められた日パラシュート部隊のように膝を抱えて (出版社:書肆侃侃房) 【著者プロフィール】 飯田有子(いいだ・ありこ) 1968年生まれ。大学時代に作歌を始める。まひる野、早稲田短歌会、かばんなどに所属、現在無所属。2001年『林檎貫通式』(BookPark)刊。
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染野太朗『あの日の海』
¥1,760
染野太朗さんの第一歌集が復刊しました。 −−− 現代短歌クラシックス09 『あの日の海』 染野太朗 【収録歌より】 カーテンに春のひかりの添う朝(あした)はじめて見たり君の歯みがき 含み笑いをしながら視線逸らしたる生徒をぼくの若さは叱る さびしさを押しつけたから君はもう静かな海をぼくに見せない 掌(て)の中に燃ゆるさびしさ 点さんと花火さがせどさがせども闇 生徒らの脳に蛍があふれいて進学試験の教室ぬくし パキシルに統べられぼくの脳(なずき)にもセロトニン舞うゆあーんゆよーん 【著者プロフィール】 染野太朗(そめの・たろう) 一九七七年、茨城県生まれ。埼玉県に育つ。国際基督教大学教養学部卒、早稲田大学第二文学部卒。第一歌集『あの日の海』(本阿弥書店、二〇一一年)にて第十八回日本歌人クラブ新人賞、第二歌集『人魚』(角川書店、二〇一六年)にて第四十八回福岡市文学賞短歌部門を受賞。短歌同人誌「外出」「西瓜」同人。短歌結社「まひる野」編集委員。 (出版社:書肆侃侃房)
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今橋愛『O脚の膝』
¥1,870
慣れすぎてやさしかった。あのへやに いつものようにあんなボサノヴァ きのうあなた しろいおでこです どきどきとしてしまったのに またみてしまうよ 星か花をたべてるみたい すきだった 遠いおとことでんわではなす 2003年『O脚の膝』2015年『星か花を』を復刻・合併した本。 多行書き、ひらがなで詠まれる短歌から独自の浮遊感と余白による、繊細で瑞々しい描写、ドキドキ、必読です! ------------ 18年ぶりの待望の復刊。 何度読んでもひりひりとして、感受性のかたまりだった頃の気持ちを思い出させてくれる。 ーーーー 現代短歌クラシックス07 『O脚の膝』 今橋愛 四六判変形/並製/208ページ 装幀:加藤賢策 2003年刊行の第一歌集を新装版として18年ぶりに復刊。 電子版だけで流通した第二歌集『星か花を』(66首)も併せて収録。 【収録歌より】 「水菜買いにきた」 三時間高速を飛ばしてこのへやに みずな かいに。 そこにいるときすこしさみしそうなとき めをつむる。あまい。そこにいたとき うすむらさきずっとみていたらそのようなおんなのひとになれるかもしれない 濃い。これはなんなんアボガド? しらないものこわいといつもいつもいうのに たくさんのおんなのひとがいるなかで わたしをみつけてくれてありがとう (出版社:書肆侃侃房)
書肆侃侃房「新鋭短歌シリーズ」一挙アップ!