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【サイン入り】佐々木 紺『平面と立体』
¥2,530
SOLD OUT
第十三回北斗賞、佐々木紺さんの第一句集『平面と立体』。 書き出しのほどけるやうに花ミモザ 春風に余韻のながき言語かな 薫風のなか血の沸いて老女たち 透明感があって、静謐で、美しいイメージの俳句。すっと、流れる水のように自然に入ってくるのだけれど、ほどける書き出し、余韻の長い言語、血の沸く老女、など、本来なら異物感も起きそうな強い言葉も、文体の中になめらかに包みこまれています。 寒天の平面を蜜すべりきる 降参の背後狐火だらけなり 花冷やフルーツサンドやすませて 美しさの根源には、常に時間や動きを感じさせる捉え方や、仄かに幻想的な比喩や、科学的な語彙による抽象性もまた、風通しをよくしている気がします。 平面の淋しさに摘む蓬かな 咬合の悪き一族星月夜 時に壮大で、抒情的でもあり、大きな射程を捉える句集。一句一句、思わずページを捲る手を止めてしまう1冊です。(よ) --- 【著者コメント】 7年間で書いた274句を収録した句集です。 装丁が真っ白い紙に透明の帯で、シンプルなものですが褒めていただけることが多いです。 句は軽やかでおどろきがあり、どこか澄んだ読み心地のあるものを目指して作っています。 探梅や水面は雲をゆるく溶き 花冷やフルーツサンドやすませて 生き延びるため森を描く冬の画布 【著者プロフィール】 佐々木 紺 2022年「おぼえて、わすれる」150句にて北斗賞を受賞 2023年「雪はまぼろし」20句にて豆の木賞を受賞 2023年10月―2024年2月 大阪の葉ね文庫にて「夜の速度」(山口斯×佐々木紺)と題して俳句の展示開催 2024年5月以降、島根にて展示予定
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月野ぽぽな『人のかたち』
¥1,980
SOLD OUT
--- 第28回現代俳句新人賞、第63回角川俳句賞受賞の著者・待望の第一句集。 月野ぽぽなはニューヨークに暮らして、俳句という最短定型の民族詩を、日本人である自分の体(私は肉体とも身心とも言う)で消化しようとしている。ーー金子兜太 〈収録句より〉 街灯は待針街がずれぬよう 鳥よりも高きに棲むを朧という ぶらんこの鉄に戦歴あるだろうか 母を地に還し椿の蕊そろう ピッチカート蛍ピッチカート蛍 草の先から夕焼のひとしずく エーゲ海色の翼の扇風機 一匹の芋虫にぎやかにすすむ 月を見るおいしい水を飲むように 途中下車してしばらくは霧でいる 初冬やヘブライ文字は火のかたち 凍つる夜をピアノの音の密ひかる もうすぐで雪のはじまりそうな肌 ゆらゆらと初湯のところどころ夢 待春の自由の女神前のめり 【著者プロフィール】 月野ぽぽな (ツキノ・ポポナ) 1965年 信州伊那谷生まれ 1992年より 米国ニューヨーク在住 2002年 句作開始 2004年 「海程」入会 金子兜太に師事 2010年 第28回現代俳句新人賞受賞 2017年 第63回角川俳句賞受賞 現在 「海原」「豆の木」「青い地球」「平」同人 現代俳句協会会員 (左右社)
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岡田一実『醒睡』
¥2,750
--- 著者による全編朗読の音声データをQRコードとURLで付録。 【未完了に揺らぐ瞬間をピン留めする魔法などどこにもないはずなのに、 この句集には、 数多の〈体験質〉たちが驚くべき解像度のまま封じ込められている。著者は、言葉の水路網を指先で測深し、それらをこまやかに梳き合わせ、そこにたまさか現れる時間の浅瀬に風花雪月の工芸をつぎつぎと生け捕っていく。切子のごときメカニカルな精緻さと和紙のごときたおやかな陰翳とが饗応する幻の庭。 既存の手法では決して計測できない質の洗練に、それでも固有の精密な測度があることを、 この句集は証し立てている。 ――平井靖史(本書帯文より)】 《自選五句》 楸(ひさぎ)咲く現いづこも日に傷み ぼうたんに昼を退きゆく日影かな 孑孒のうしろへ横へ手水鉢 灼け駈けて舟虫の思惟ささ止まり むらさきの紋を振り飛ぶ秋の蝶 (青磁社/岡田一実)
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『川柳EXPO 2024』
¥2,000
投稿連作川柳アンソロジー・第二弾! 『川柳EXPO 2024』 初回限定の川柳EXPO公式マスコットキャラクター「川ずきんちゃん」ステッカー付きです。 ※5/19(日)の東京文フリに先駆け、先行発売中!
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瀧村小奈生『留守にしております。』
¥1,980
--- へなちょこなかわいらしさから、上質な言葉遊びまで、瀧村小奈生の魅力がいっぱい詰まった本句集を、こころゆくまで楽しんでほしい。――なかはられいこ 栞:佐藤文香、荻原裕幸、なかはられいこ 【収録作品より】 のがのならなんのことない春の日の これからが躑躅やんかというときに 完璧な曇り空です。あ、ひらく 吊革のように暮らしていますから かなしいのかしら和蘭陀獅子頭 畳み方がややこしいけど羽なんだ 靴踏んで、ねえ、白すぎるから踏んで まだすこし木じゃないとこが残ってる 留守にしております秋の声色で 受話器押しあてれば雪の積もる音 あふれない水でいましょう いよう 【著者プロフィール】 瀧村小奈生 (タキムラ・コナオ) 1958年生まれ ねじまき句会、海馬川柳会(川柳)、ねじまき連句会、桃雅会、猫蓑会(連句)、ペンキ句会、満月句会(俳句)に参加 (左右社)
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鈴木総史『氷湖いま』
¥2,750
「群青」「雪華」所属の鈴木総史さんの第一句集。 北海道をテーマに詠んだ句を収録。 --- どぶろくの瓶の吹雪を飲み干しぬ 『氷湖いま』は異彩を放つだろう。すなわち、地方に立脚するのみの風土詠ではなく、かといってのっぺりとした都市風景でもなく――誤解をおそれずにいえば、「洗練された風土詠」ということになる。 序より・櫂未知子 跋・佐藤郁良 栞・橋本喜夫 ◆自選十句 立子忌の咲いて名前も知らぬ花 生きるにはふるさとを欲り夏蜜柑 血の記憶ありさうな孑孑ばかり メロン食ふたちまち湖を作りつつ わたつみの光なら欲し葡萄棚 林檎狩脚立にすこし海の香 虫籠を湖の暗さの物置より さざなみは船に届かずカーディガン 灯を点けて塔の全貌夜鳴蕎麦 ためらはず踏め樏の一歩目は
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【加賀翔サイン入り】加賀翔・白武ときお『鼻を食べる時間』
¥1,760
SOLD OUT
--- 歌人・穂村弘氏、推薦! ―――私たちは世界のごく一部にほんの一瞬だけ触れて消えてゆく。 お二人の言葉に出会って、その運命の愛しさを強く思った。 お笑い芸人かが屋の加賀翔と放送作家白武ときおによる、季語や韻律から解き放たれたエロティシズムあふれる俳句、自由律俳句。 QJWebから始まった俳句連載が、この度一冊の句集になった。 加賀翔・白武ときおが書籍用に新たに制作した作品に加え、連載ゲストの作品、読者から募った珠玉の投稿句を含め、300のエロ自由律俳句が収蔵されている。 (太田出版)
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佐藤文香『こゑは消えるのに』
¥2,750
--- いま最も注目を集める俳人・佐藤文香の第4句集。 1年間にわたるアメリカ西海岸での生活から生み出された、詩情豊かな俳句の世界。 ブックデザイン 吉岡秀典(セプテンバーカウボーイ) ■著者 佐藤文香(さとう・あやか) 1985年生まれ。句集に『海藻標本』『君に目があり見開かれ』『菊は雪』。編著に『俳句を遊べ!』『天の川銀河発電所 Born after 1968』など。共編著に『おやすみ短歌』。詩集に『渡す手』。 ■本句集より 桑港を巡り思索にかなしき艶 七面鳥五羽や舗道を一列に テキサスの八月蟇のごとき雲 ホテルに街角英字新聞一切読まず 平麺に兎ソースや加州の月
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【サイン入り】箱森裕美『鳥と刺繍』
¥1,000
ここ数年の262句をまとめた私家版句集。 文庫本サイズ。可愛らしい装丁が印象的です。
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芳賀博子 川柳句集『髷を切る』(文庫)
¥1,320
--- 2018年に刊行された単行本川柳句集『髷を切る』の文庫化。文庫化に際し、新章を追加。解説文に町田康氏。 春暮れる消える魔球を投げあって 私も土を被せたひとりです 一点の嘘 数式が完成す ひきちぎるためにつないでいる言葉 いいよって乗っけてくれたトンボの背 ニホンオオカミの末裔にてネイルあ、録画するのを忘れてた戦争 (青磁社)
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田畑書店『川柳アンソロジー みずうみ』
¥1,650
ポケットアンソロジーシリーズより、川柳の作品5点をまとめた《川柳アンソロジー みずうみ》。 単品販売のページはこちら https://gatangoton.base.shop/items/71328488 --- ポケットアンソロジー ◎《川柳アンソロジー みずうみ》 永山裕美・監修/樋口由紀子・解説 〔収録作品リフィル〕 ・なかはられいこ「水の骨組み」 ・芳賀博子「襖はずして」 ・八上桐子「ほとり」 ・北村幸子「雫する楽器」 ・佐藤みさ子「空うつす」 (田畑書店)
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田畑書店『ポケットアンソロジー』シリーズ
¥330
自分の好きな作品を集めて、好きな順に並べて読む。 一人一人独自の”アンソロジー”が作れる「ポケットアンソロジー」。 歌人・柳人の作品をセレクトして取り扱っています! 「ポケットアンソロジー」の詳細&他のリフィル(短編)の購入はこちらへ(田畑書店サイト) http://tabatashoten.co.jp/pocketanthology/
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片山由美子『俳句日記2015 昨日の花 今日の花』
¥2,420
--- ◆シリーズ最新作 心掛けたのは、季語の実感を大切にすること―― はや虫の声を聞く夜となりにけり 昼間はまだ残暑が厳しいというのに、夕方になると蝉と入れ替わるように青松虫が鳴きだす。去年も今頃から虫の声を聞いた。 2015/8/19(水) ◆あとがきより 九月十四日に〈けふの花昨日の花や酔芙蓉〉という句がある。その名の通り、開いたときは純白の花がしだいに赤みを帯び、夕方しぼむころには桃色になる。しかし、すぐに落ちてしまうのではなく、色を深めて一日茎にとどまり、次の日に落ちていく。そうして毎日順番に咲く花。私の日常もこんな連続で、一昨日のことなど大方記憶から抜け落ちている。平凡な日々を象徴する花のように思われ、タイトルを「昨日の花 今日の花」とした。 (ふらんす堂)
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井上弘美『俳句日記2013 顔見世』
¥2,420
SOLD OUT
--- ◆収録作品より 2月12日(火)晴 真夜中のあかるさとなり春みぞれ 窓の外でさらさらと音がする。何だろうと思って覗くと、霙が降り出しているのだった。向かいの家の屋根はすでに白く、街はひっそりと美しい。 ◆あとがきより 日記を書くのなら、東京での日々の生活と、産土の地である京都の四季や歳事を合わせて書きたいと思った。円山公園の枝垂ざくらはもう咲いただろうか、上賀茂神社の蛍はどうだろうなどと、いつも慣れ親しんできた京都の風物のことを思っているからである。日記を書くとき、慌ただしく過ぎ行く日常に「今日の京都」を重ね合わせた。そうすることで、自分の原点を確かめていたように思う。 (ふらんす堂)
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櫂未知子『カムイ』
¥3,080
--- 第57回俳人協会賞受賞! 第10回小野市詩歌文学賞受賞! ◆第三句集 一瞬にしてみな遺品雲の峰 前の句集を出してから、思いのほか長い月日が過ぎた。途中、母の死をきっかけに句稿を何とかまとめたが、その二週間後に東日本大震災が起きてしまった。今思えば、あの震災は自分の作品を再び見つめ直すための厳しい機会だったのかも知れない。 ◆収録作品より 南風吹くカレーライスに海と陸 さまよへる湖に似てビヤホール 簡単な体・簡単服の中 帰心とは水引草にかがむこと いちじくの火口を覗く夜なりけり 風呂敷は布に還りて一葉忌 海流のぶつかる匂ひ帰り花 病棟は海鳴りのなか神の留守 しばれると皆言ひ交す夜空かな 大空に根を張るつららだと思へ (ふらんす堂)
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宇多喜代子『この世佳し―桂信子の百句』
¥1,540
--- ◆梅林を額明るく過ぎゆけり 昭和十三年、大阪の大手前高等女学校(現在の大手前高校)を卒業したころ、『昭和文学全集』(改造社)の「俳句篇」を読んでいて、古めかしい俳句の多い中、日野草城と山口誓子の句に目が止まった。たまたま阪急百貨店の絵画展に出かけた際に、同百貨店の一階ロビーの書籍売場に出ていた俳誌「旗艦」を手にとり、そこでかねてより俳号といささかの俳句を知っていた草城の作品を目にする。あきらかにそれまで読んできた俳句とはちがうということに惹かれ、当時の草城がどういう経緯をもっていた俳人であるのか、「旗艦」がどういう俳誌であったのか詳細も知らず、昭和十三年の暮にこれに投句を始める。 掲句は「旗艦」48号に初入選した句である。〈額明るく〉に若い女性の気持ちの明るさがうかがえる。 (昭和十四年) (ふらんす堂)
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鴇田智哉『凧と円柱』
¥2,200
SOLD OUT
--- ◆第6回田中裕明賞を受賞しました! ◆待望の第二句集! 心は、以前にも以後にもうつる。それは感情に限らず、見える、聞こえる、匂うといった感覚に関しても。ときに心は、未来の出来事を先に見ることでさえ、ある。─今のこの出来事は、いつか遠い昔にも見えていたし、これからずっと先にも、また新たに聞こえ続けるだろう─ この句集はいわば、心の編年体による。 (あとがきより) 風船になつてゐる間も目をつむり 人参を並べておけば分かるなり まなうらが赤くて鳥の巣の見ゆる こほろぎの声と写真にをさまりぬ 上着きてゐても木の葉のあふれ出す 南から骨のひらいた傘が来る ひあたりの枯れて車をあやつる手 うすぐらいバスは鯨を食べにゆく (ふらんす堂)
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片山由美子『香雨』
¥2,970
SOLD OUT
--- 第52回俳人協会賞を受賞しました! ◆第五句集 聞きとめしことまなざしに初音かな 言葉にはならないけはいのようなものを言葉によってただよわせる、それが私にとっての俳句の妙味だ。 ◆自選十句より 断崖をもつて果てたる花野かな 足跡のその先にひと春渚 かりがねや水底見せて水急ぎ 花の色とはうすべにか薄墨か 書斎へと子規忌の客を通しけり 雨の日の午後しづかなる桜餅 滴りを跳ね返したる水面かな 初雪や積木を三つ積めば家 ここはもう花野といへぬ花の数 日傘たたむ日傘に視線感じつつ (ふらんす堂)
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黒澤麻生子『金魚玉』
¥2,640
SOLD OUT
--- 第41回俳人協会新人賞受賞! ◆第一句集 竹馬に乗りて日なたに出でてみよ 麻生子さんの一筋の句作の道は確かに光りつつ未来へ続いている。 (序より・鍵和田秞子) ◆自選十二句より 茸匂ふ家に花札散らばりぬ 共犯のごと夜食して父娘 身を投げるならば十薬咲く渓に 枯野に立つ初めて海を見しごとく 鎖骨出して歩くか雪の六本木 風を読むラガーの耳の尖りけり 竹馬に乗りて日なたに出でてみよ 鳥の巣を形見と思ふ朝かな 秋風や家族のやうな鍋捨てて 金魚玉むかしのことは生き生きと (ふらんす堂)
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山岸由佳『丈夫な紙』
¥1,980
--- 現代俳句新人賞作家による待望の初句集。2015年から2022年までの284句を収載。石寒太(「炎環」主宰)による挟み込み栞文。 汗引いてゆき百年のシャンデリア 人影のダリアの揺れてゐる故郷 石を生む体の睡り泉湧く 小鳥来るまひるを眠らないやうに ほほゑめば十一月の木の模様 鮫の歯のうつろ花びらほどひかり 舟は花つめたい顔の揺れながら 卵買ふゆふぐれ蝶に追ひつかむ 【著者プロフィール】 山岸由佳 1977年長野県生まれ。「炎環」同人、「豆の木」参加。2015年、第33回現代俳句新人賞受賞。
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小池正博『海亀のテント』
¥1,980
--- 海亀のテントめざして来てください アンソロジー『はじめまして現代川柳』編者、 『水牛の余波』『転校生は蟻まみれ』に続く6年ぶりの川柳句集。 【収録句より】 褒められたときには顔を取り換える 握っても握り返さぬニュータイプ どうしても緑に染まる鳩と蛇 アバターの睫毛が動く月曜日 蜘蛛降りて少女の肩に網を張る 廃園にひとさじ運ぶ離乳食 攻めることにする左手にマングース 猫の耳つけて構えるスナイパー 初心にも特殊メイクをしておこう 【著者プロフィール】 小池正博(こいけ・まさひろ) 1954年、大阪府生まれ。1997年「現代川柳点鐘の会」に入会、墨作二郎に師事。「バックストローク」「川柳カード」同人を経て「川柳スパイラル」編集発行人。句集『水牛の余波』『転校生は蟻まみれ』、評論集『蕩尽の文芸 川柳と連句』、編著『はじめまして現代川柳』。
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小津夜景『花と夜盗』(特典ポストカード付き)
¥2,090
北海道出身、フランス在住。漢詩の翻訳と軽やかなエッセイを綴った『カモメの日の読書』も人気の小津夜景さん。 『フラワーズ・カンフー』から6年ぶり、待望の第2句集です! 特典のポストカード付きです。 きつねしかゐないのふしぎ天の川 風魔来てひとふさ秋を編み上ぐる 水仙を奏でる風の双子めく 龍天にのぼれと集ふ空き巣の徒 月を呑む花の廃墟を照らすため ウイットがあり、柔らかで、どこか儚くも想像力を刺激し続ける俳句に心が踊ります。 幕間として、幅広い古典を連句、短歌、俳句などの翻訳。訓読みの長い三文字俳句、武玉川調(七・七音) の俳句や都々逸など、圧倒的な見識と感性で軽やかに遊ぶさまは心地よいほど。「たわむれに書き散らしたことば」とするには、あまりにも壮大で厚みのある句集。 小津さんの脚でしか辿り着けない、言葉の深い世界を垣間見ることができます。 Paul-Louis Couchoud他によるフランス語 最古の句集 « Au fil de l'eau (1905) より Dans un monde de rêve, Sur un bateau de passage, Rencontre d'un instant. 夢の世を渡る舟にてちよつと逢ふ --- 英娘鏖 はなさいてみのらぬむすめみなごろし 現世(うつしよ)のカオスにひそむ言葉の華麗な万華鏡(ミクロコスモス) ────谷川俊太郎 『いつかたこぶねになる日』などエッセイでも活躍する俳人・小津夜景。 田中裕明賞を受賞した『フラワーズ・カンフー』に続く6年ぶりの第二句集。 【収録句より】 漣が笑ふいそぎんちやくの朝 蟬生(あ)れて死んで愛してゐた時間 莨火(たばこび)を消して裸足の身を焦がす 香水のちがふ白河夜船かな パピルスや死後千年の音階図 君の瞳(め)を泳ぐおらんだししがしら かささぎのこぼす涙をおつまみに 露実るメガロポリスよ胸も髪も 逃げ去りし夜ほど匂ふ水はなく 後朝のキリマンジャロの深さかな 【著者プロフィール】 小津夜景(おづ・やけい) 1973年北海道生まれ。2013年「出アバラヤ記」で第2回攝津幸彦賞準賞、2017年句集『フラワーズ・カンフー』で第8回田中裕明賞を受賞。その他、著作に漢詩翻訳つきの随筆集『カモメの日の読書』『いつかたこぶねになる日』、ヴィオラ・ダ・ガンバ奏者・須藤岳史との共著『なしのたわむれ 古典と古楽をめぐる手紙』などがある。
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浅沼璞『塗中録』
¥1,650
--- 俳句と散文のつらなりを追い、ふと顔を上げれば、見知らぬ場所にたどり着いている。 連句人(レンキスト)にして西鶴研究者・ 浅沼璞による初句集。 それでもまだ、希望が、俳句が、わいてくるのだから、不思議だ。 〈とり返しのつかないかたち〉を句集にする手だって残っている。 ──本文より さみだれといふ部首さがす最上川 脇息に開く春雨物語 ゆつくりと空みせてゐる障子かな 俺は津までお前も津まで花筏 これからの氷菓のことを話しあふ 【著者プロフィール】 浅沼璞 (アサヌマ・ハク) 一九五七年 東京都生まれ 一九八七年 「横浜戸塚駅」俳句会、参加 一九九一年 俳諧誌「水分」同人参加。眞鍋呉夫に師事 一九九五年 連句形式「オン座六句」を創案 一九九七年 連句誌「れぎおん」同人参加(十八号~終刊号) 二〇一三年 俳誌「群青」同人参加(創刊号~二十四号) 二〇一六年 日本詩歌句協会評論大賞受賞 二〇一八年 俳誌「無心」創刊、代表 著書 『可能性としての連句』『中層連句宣言』『「超」連句入門』『西鶴という方法』『西鶴という鬼才』『西鶴という俳人』『俳句・連句REMI
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北大路翼『天使の涎』
¥1,528
--- 夜々新宿歌舞伎町に出没し 酒を喰らい、女を愛し、友と語り、嘔吐する アンチモラルの日々に追い求める文学、ことば 吐いて、吐いて、吐く! 五...七...五 おのがどろどろの生と性を定型に閉じ込め その先の開放を希求して吐きつづけた俳句 その数 2000 人に非ざる人 俳人 北大路翼が 究極の短詩定型...... 俳句の真髄を示す 2016田中裕明賞受賞! 【著者プロフィール】 北大路 翼 1978年5月14日、横浜市生れ。 小学5年頃種田山頭火を知り、 自由律俳句をマネたモノを作り始める。 反抗期に俳句がぴったりと同調。高校在学時、 今井聖に出会い俳句誌「街」創刊と同時に入会。 童貞喪失を経て詩誌「ERECTION」に参加。 「週刊漫画」などで成人漫画の原作執筆。 二十代半ば、会田誠、加藤好弘(ゼロ次元)らに出会い、 俳人としてパフォーマンスに参加。 (出版社:邑書林)
書肆侃侃房「新鋭短歌シリーズ」一挙アップ!