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西尾勝彦『ふたりはひとり』
¥2,200 税込
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『歩きながらはじまること』『のほほんと暮らす』などで、人気の西尾勝彦さんの新刊。
西尾勝彦、と聞くだけで、ほっこりとしてしまうのですが、新刊はまず、シャープで、透明感のある装幀に身が引き締まりました。
箔押しされた表紙も、奥行きを感じさせます。
中には、目次もあとがきもなく、「あなた」との時間を多く感じさせる詩が続いています。
ふたり
ほんとうに
生きること
夢と
うつつの
あわいで
大切な人との時間を、人生を、一瞬一瞬を噛み締めるような言葉が連なります。
透明で音もない、水のなかを泳いでいるように、抵抗なく、穏やかに、でも少し先の不安に気づきながらも、進んで行く感じ。ずっと、読んでいたいと思う。
古庭の草原
パンと
珈琲の匂い
光にとけて
特別な出来事がかかれている事はあまりなくて、ただただ、目の前の大切な人や、流れている時間が愛おしいのだと感じさせてくれます。
風光る
休日なのに
あなたは
ひとり
出かけてしまった
玄関には
わたしの
靴だけが
ねむっている
珈琲を淹れ
トーストを
ひとりで食べる
(※中略)
身の回りにある、普段のことや、暮らしのことを美しくしてしまうような力を持つ西尾さんの詩ですが、より、大切なものを見つめ、深く、静かに、根を下ろした、更に先の風景を見せてくれる気がしました。
美しく、静謐な佇まいもあり、ずっとそばに置きたい一冊です。
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