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鈴木晴香『心がめあて』

¥1,980 税込

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バスタオルふたりで使う脱衣所でまたキスをしてしまう、ふりだし

カーテンが夜を創ってくれるからわたしがそれを本物にする



ロマンチックな読後感もありながらも、それは空想ではなく、感情のリアルな描写である事に気づかされます。生活の中でふりだしに戻ること、夜を本物にすること、非現実的なようでいて、恋の中で色んなものが吹き飛んでしまう感覚や、カーテンを締める形式的な夜より、本当の夜は、自分の心が動いたときに始まるのかも知れない。



見たことがないものだって抵当に入れられる、永遠の恋など

湖に指を入れたら少しだけ痛いと思う 湖の方が

バケットの端を突いている鳩のねじれる首を見てはいけない


驚くべき感受性と飛躍で、掴めないものを必死に確かめようとしている感じがする。見たことが無くても手にしている永遠の恋。引き換えに借り入れるものはそれよりも大きな、覚悟を感じる。
何かに関係することは、自らの何かが変わる事でもある。湖に手を入れる事で、自らの中の湖や関係に変化が起きる。それを、相手の痛みと感じるほどに、瑞々しく感性を研ぎ澄ませている。
感受性と、飽くなき探求心が、自然な動物の仕草の中にも、実は見てはいけない何かを見いだしてしまう。

美しい描写の中にも、すごく遠くまで連れ出してくれる飛躍や、生々しい実感、遊び心、ときめき、たくさんのものが詰まっています。
(よ)



−−−
掴めないはずの感覚を捉えた瞬間の心地良さ。
それが集積して立ち上がる日常をとても愛おしく感じました。―又吉直樹

第一歌集『夜にあやまってくれ』で鮮烈なデビューを果たした著者、待望の第二歌集。
わたしとあなた。心と躰。
繋がっては離れ、私たちは、世界をひらく鍵を探しつづけている。
2016年以降に詠まれた短歌のうち、『短歌ください』掲載作を含む297首を収録。

思い出は増えるというより重なってどのドアもどの鍵でも開く

生体認証。指紋や眼球や顔が暗号になるように、歌を作ることで入れる世界がある。歌を詠み、歌に詠まれた心身は、そこでは鍵の役目を果たしてきた。自らの欠片を差し出すことで、ドアをこじ開けてきたのだ。でも、少し醒めた時には、こんな風にも考えてしまう。はたして、世界は世界の方で、そんなわたしの押し付けがましい断片を望んでいるのだろうか、と。
心許なく、世界に問いかける。わたしのなにがめあてですか? この歌集におさめた歌は、そんな世界との相聞の苦闘の跡だ。
──「あとがき」より

〈収録短歌より〉
白ければ雪、透明なら雨と呼ぶ わからなければそれは涙だ

君は手の銀貨を天然水に変えその水はすぐ人間になる

文字のない世界に降っていた雪よこれからつく嘘にフォントあれ

またここにふたりで来ようと言うときのここというのは、時間のこと

ライターのどこかに炎は隠されて君は何回でも見つけ出す

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