
『葛原妙子歌集』
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「歌とはさらにさらに美しくあるべきではないのか」といふ問ひに責められる。この嘆きは、と りもなほさず自己不達成の嘆きに他ならず、おそらくは一生、私自身につきまとふ心の飢餓の變 形でもあるのだらう。とすればいさぎよくその飢餓とたたかふ外に方法はない。ー葛原妙子
1907年生まれ、現在もなお、多くの人を魅力してやまない、葛原妙子の歌4519首から、1500首を川野里子さんが厳選。身近なモチーフの中にも、荘厳、幻想的な世界が広がります。
他界より眺めてあらばしづかなる的となるべきゆふぐれの水
他界の者から見れば、的として狙われるような静けさ、神秘性を讃えた水溜まり。ふと通り過ぎるようなものからめ異界が広がる視点の転換に驚かされます。
長き髪ひきずるごとく貨車ゆきぬ渡橋をくぐりなほもゆくべし
貨車の力強さ、それを長い髪と見る生生しさ、貨車に積まれた人の営みや恐ろしさまで感じ取れます。
胡桃ほどの脳髄をともしまひるまわが白猫に瞑想ありき
なかなか、まどろむ猫に言うには刺戟的な、クルミほどの脳髄、という表現。瞑想をするという猫は神秘的にも見えるし、生物への大きな敬意も感じられるように思いました。
栞文には大森静佳さん、川野芽生さん、平岡直子さん。
川野里子さんによる背景や歴史も含めた解説や読書案内もあり、葛原妙子を、ぐぐっと味わい、知る事のできる一冊。
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戦後短歌史に燦然と輝く歌人・葛原妙子。
すべての歌集から1500首を厳選、
葛原の壮大な短歌世界を堪能できる一冊。
葛原妙子/川野里子編
【栞】
大森静佳「えぐる、えぐられる」
川野芽生「幻視者の瞼」
平岡直子「この世界で、電気仕掛けの身体で」
【収録歌より】
早春のレモンに深くナイフ立つるをとめよ素睛らしき人生を得よ(『橙黃』)
わがうたにわれの紋章のいまだあらずたそがれのごとくかなしみきたる(『橙黃』)
黑峠とふ峠ありにし あるひは日本の地圖にはあらぬ(『原牛』)
他界より眺めてあらばしづかなる的となるべきゆふぐれの水(『朱靈』)
疾風はうたごゑを攫ふきれぎれに さんた、ま、りぁ、りぁ、りぁ(『朱靈』)
【著者プロフィール】
葛原妙子(くずはら・たえこ)
1907(明治40)年東京都文京区に生まれる。1939年「潮音」に入社。四賀光子の選を受ける。第二次大戦後本格的に作歌活動を始め、1949年「女人短歌会」創立メンバーとなる。1981年には歌誌「をがたま」創刊。1985年没(洗礼名マリア・フランシスカ)。歌集に『橙黄』『縄文』『飛行』『薔薇窓』『原牛』『葡萄木立』『朱靈』『鷹の井戸』。遺歌集として『をがたま』がある。『葡萄木立』により日本歌人クラブ賞、『朱靈』により第五回迢空賞を受賞。随筆集に『孤宴』がある。
(書肆侃侃房)
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