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雪舟えま『たんぽるぽる』(文庫版)

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札幌出身、雪舟えまさんの、長く、広く愛されている歌集『たんぽるぽる』の文庫版が、短歌研究社より発売されています!

目がさめるだけでうれしい 人間がつくったものでは空港がすき

とても私。きましたここへ。 とてもここへ。白い帽子を胸にふせ立つ

うれいなくたのしく生きよ娘たち 熊銀行に鮭をあずけて

キラキラとした寓話性を纏いながら、張りつめるように切ない胸の内、溢れるばかりの感情に胸がいっぱいになります。多くの人を魅了して止まない一冊。

文庫本ながら、ザラッとして味わいのあるカバーは、クラシックの装い。また、全体の三分の一ほどは同時期にウェブに連載されていた「地球の恋人たちの朝食」からの抄出となっており、歌集を、より拡張して鑑賞できる仕様です。(たんぽるぽるの扉の詩は、この連載から引かれています。)

ミュージシャン吉澤嘉代子さんの解説は、雪舟えまさんへの手紙という、事情通の心を鷲掴みにする憎い演出…!愛に溢れています。あの時の感動を、更に大きくしてもう一度…!(よ)

『地球の恋人たちの朝食』「オーヴァドライヴ」よりー

あたしは特異体質だとおもう 特異体質は信用に値するだろうか

希望で目がさめる 生きてるから何だってできるって 胸の中に焼けた板があるみたいな痛みでめざめる 涙で顔がぐしゃぐしゃになって

一泊の旅で 車窓からみえるすべてに 心がパンみたいにちぎれてくっついてしまう 家につくころには

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