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川上亜紀『あなたとわたしと無数の人々』

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なんどだって、満たされていく。


惜しまれつつ2018年に亡くなった川上亜紀の刊行全四詩集を、各詩集のあとがきなどもふくめて収録しました。
・生姜を刻む(新風社 1997)
・酸素スル、春(七月堂 2005)
・三月兎の耳をつけてほんとの話を書くわたし(思潮社 2012)
・あなたとわたしと無数の人々(七月堂 2018)


豆と米 肉と葱 噛まれてそれが【わたし】になって
火や水を使い発語するとは思えないのに 味噌と茄子
噛まれて熱となって 胡瓜 また噛んでいる

「噛む夜」より抜粋


ふと振り向けば私の心はあたたかく澄んだ水に満たされていてもう溢れそうになっているのだ。
声高なわざとらしさが一切ないのが、川上さんらしい。切実だけど、茶目っ気たっぷり。突然のユーモラスな展開や幻想的なイメージには思わず笑ってしまう。
──川口晴美

私たちは親しく語り合った後のように「もうほんとうに恐ろしいことなどありはしない」と微笑みを浮かべて頷きたくなり、言葉を介して結ばれる無数の人々の一人となるのだ。
──北爪満喜

川上亜紀の詩は、どの作品も、読み手に向かって語り掛け、扉が開かれ、その先には川上の言葉でできた通路が無数に伸びて絡み合っている。
──白鳥信也


川上亜紀プロフィール
1968年、東京生まれ。
早稲田大学文学部卒
在学中、難病にかかり、闘病しつつ、詩、小説を書く。
2016年、癌にかかり闘病かなわず
2018年1月23日、初版『あなたとわたしと無数の人々』を制作中に逝去。

詩集
2022/03/30発行
110x160 並製 カバー 帯 栞付
七月堂

栞文:川口晴美・北爪満喜 叢書版あとがき:白鳥信也 組版・装幀:川島雄太郎

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