絹川柊佳『短歌になりたい』
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ポップのフォント、イラスト、カバーのない装丁。二次元に振り切ったビジュアルの、絹川柊佳さん『短歌になりたい』。帯の「純粋になりたい。短歌になりたい。」に、偽りはないように思います。
始まりも終わりも見えない道にいて君しかいないような気がする
特別になりたし紺の制服の下に真白のワンピース着る
友達とうまく話せた日の夜に一本道でみたお月さま
水面が映して倍になる光 きれいなものに踊らされたい
絶対的なもの、純粋なもの、存在を真っ直ぐに見つめていて、潔癖なまでに問い続けている姿が印象的でした。実際には手の届かない、二次元にあるような理想、終わることのない憧れ。
君の目が泣きだしたことに触れないで話し続けた駅のドトール
好きだって思ったものを信じてる わたしの道はいつも明るい
日記帳必要かもな大学で楽しいことがいくつかあった
ストレートパーマを君があてたから春が途中で新しくなる
愚直なまでに、真っ直ぐな視線は揺るがない。涙に触れても語り続け、見えかけた陰も、気持ちだけで、強く照らそうとする。それでも、揺るぎないものがあるわけではなくて、大切な人の変化で世界が変わるほど繊細で、柔らかい。
自転車で前を通ればたっぷりと角度を変えたタワーマンション
流行ってるズボンの形とか丈が変だと思う水色の夜
缶詰のとうもろこしをスプーンで食べてる袖なしの夏の夜
常に光をみようとしている。故に、何気ない日常のワンカットも尊く、嬉しく、一時のオアシスのように感じられました。
宵闇に浮かぶスケート場そこでみんな待ってるような気がした
マイナンバーの紙を探して奥の部屋 電気点けなくてもいけるかな
情景、手付き、魅力は多くありますが、それらが光を失わず、純粋な問いかけとして存在へ向かう強さに心打たれます。表紙イラストの冨士原良さんの事は、おそれながら存じ上げなかったのですが、如何ほどの理想郷が描かれているのか…、と、勉強してみようと思いました…(よ)
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短歌になりたい。純粋になりたい。
短歌研究新人賞受賞作「いつも明るい」を含む、
高校生活、大学生活の中で作った短歌260首を収録。
淡い光につつまれた、かけがえのない青春像。こころもとなさや不安感、寂しさなどをか
かえながらも、ふてぶてしくてたくましく生きる日々をうたう。
【歌集より】
鼠に続く鼠の影が ほんとうに寂しいときはどうすればいい
傷つけるように電車が過ぎていく 心臓同士をくっつけたいの
映画にはならないただの暗い日々 薔薇の模様のセーターを買う
モンスターボールに戻されるときの白い光で安心したい
四つ葉かと思ったら三つ葉が重なってそう見えただけ プレゼントだよ
【著者プロフィール】
絹川柊佳(キヌガワシュウカ)
2016年「いつも明るい」30首で第59回短歌研究新人賞を受賞。
出版社:短歌研究社
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