安田茜『結晶質』
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話題の安田茜さんの第一歌集『結晶質』。
雪山を裂いて列車がゆくようにわたしがわたしの王であること
朝の陽にまみれて鴉うつくしいものには身も蓋もないのだから
ろうそくが部屋に灯っていることが一夜わたしの要塞になる
壮大なモチーフを用いながら描かれる描写は澄んでいて、透徹した目線を感じます。気高くも、どこか儚く、美しい。正に結晶のよう。
まよなかの椅子はことさら硬くなる暗闇に目が慣れてくるまで
点火するようにひとさし指で押す列をはみ出た詩集のひとつ
あなたごときに汚されるわけない夜の月を割るならきっぱり縦に
ごめんねのかたちに口をうごかせば声もつづいて秋の食卓
些細な描写や繊細な心象も生々しくなく、静かで澄んだ形で歌われており、清らかな気持ちになります。
あかるさと暗さは同居しうるのであらしの晩にまた会いましょう
髪のながいおとこのひとにあこがれて私も髪をのばしています
澄んだ水のとなりに蛍石を置いてその正面で髪をむすんだ
石英を朝のひかりがつらぬいていまかなしみがありふれてゆく
悲しみ、喜び、決意、様々な感情が穏やかに、一貫して歌われる様は美しく、また、強い芯に励まされるような気持ちにもなりました。(よ)
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雪山を裂いて列車がゆくようにわたしがわたしの王であること
第4回笹井宏之賞神野紗希賞受賞の著者による第一歌集。
安田さんの歌には、「それでも」言葉を信じて光のほうを向き直す、高潔な魂が震えている。
──────神野紗希(栞文より)
ゆめでも現実でもなく、さらには妄想でも幻想でもない不思議な空間がくりかえし創り出される一冊のなかで、怒りの感情はとくに激しい。激しく強くかっこいい。
──────江戸雪(栞文より)
安田さんの歌の持つ抽象的で硬質な詩情は日々の暮らしの中から生まれており、そしてまた日々の暮らしに浸されるとき、律動を持ち人々を癒やす、そういう種類のものなのだと思う。
──────堂園昌彦(栞文より)
【収録歌より】
冬にしてきみのすべてに触れ得ないこともうれしく手ですくう水
髪に闇なじませながら泣きながら薔薇ばらばらにする夜半がある
戴冠の日も風の日もおもうのは遠くのことや白さについて
死者にくちなし生者に語ることばなしあなたに降りそそぐ雪もなし
石英を朝のひかりがつらぬいていまかなしみがありふれてゆく
【栞】
神野紗希「遠くを、信じる」
江戸雪「アンビバレントパワー」
堂園昌彦「暮らしの中から生まれた結晶」
【著者プロフィール】
安田茜(やすだ・あかね)
1994年、京都府生まれ。「立命短歌」「京大短歌」「塔」出身。現在は「西瓜」所属。2016年、第6回塔新人賞。2022年、第4回笹井宏之賞神野紗希賞。
(書肆侃侃房)
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