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我妻俊樹『カメラは光ることをやめて触った』

¥2,090 税込

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我妻俊樹さん『カメラは光ることをやめて触った』。待望の歌集です。

みじかくてさびしい映画だったけど本当のバスに人が乗ってた

夜がかえってくる 割れた窓ガラス抱きしめ、空気の味がする

雨に乱れた髪からきみが見上げれば西国分寺駅は虹をくぐる

意図的な捻れの中に、現実と想像が織り込まれているけれど、シュールでもファンタジーでもなく、時に美しく、時に物悲しく、抒情と確かな手触りに溢れています。


飛行機がきみのゆびさす光点にかさなる 名前をおぼえたように

切手の中の町だから建物も路も四角いくせにバスが来ないの

さようなら二月の赤い国で見たマフラーからもよろしくって

つぶれた空き缶に息を吹き込んで好きな世界に戻せるつもり

作者の意図や意味を読み解くよりは、ただただ、目の前の光景や出来事を見つめてしまうのだけれど、その先が見たくなって、どんどんと中に引き込まれてしまう。人、物、時間、空間、殆んどのものが解放された世界の中で、点々と光る星に触れるような、唯一無二の読後感があるように思います。怒涛の686首!(よ)



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夏の井戸(それから彼と彼女にはしあわせな日はあまりなかった)

我妻俊樹の短歌を初めて集成する待望の第一歌集。
誌上歌集「足の踏み場、象の墓場」から現在までの歌を含んだ唯一無二の686首。

わたしがポストニューウェーブ世代でもっとも影響を受けた歌人は我妻俊樹だ。
この歌集を前にして、可能な限り無力な読者として存在してみたかった、と思った。
──────瀬戸夏子

心がないものにこそ心があると思うから、こういう歌だけを信じられる。
我妻さんの歌は、無数の蛍が放たれた小さな暗がりのようで、一首の歌がいくつもの呼吸をしている。
──────平岡直子

【収録歌より】
名刺だよ 髪の毛を切って渡すと私のことに気づいてくれる
秋が済んだら押すボタン ポケットの中で押しっぱなしの静かな神社
渦巻きは一つ一つが薔薇なのに吸い込まれるのはいちどだけ
ガムを噛む私にガムの立場からできるのは味が薄れてゆくこと
橋が川にあらわれるリズム 友達のしている恋の中の喫茶店

【著者プロフィール】
我妻俊樹(あがつま・としき)
1968年神奈川県生まれ。2002年頃より短歌をはじめる。2003年から4年連続で歌葉新人賞候補。2008年、同人誌「風通し」に参加。平岡直子とネットプリント「ウマとヒマワリ」を不定期発行。2016年、同人誌「率」10号誌上歌集として「足の踏み場、象の墓場」発表。2005年に「歌舞伎」で第3回ビーケーワン怪談大賞を受賞し、怪談作家としても活動する。著書に『奇談百物語 蠢記』、〈奇々耳草紙〉シリーズ、〈忌印恐怖譚〉シリーズ(いずれも竹書房文庫)など。その他共著に『kaze no tanbun 特別ではない一日』『同 移動図書館の子供たち』(柏書房)、『平成怪奇小説傑作集2』(創元推理文庫)、『ショートショートの宝箱』(光文社文庫)、『てのひら怪談』(ポプラ文庫)など。

(書肆侃侃房)

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