
【サイン本あり】塚田千束 『アスパラと潮騒』
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第64回短歌研究新人賞受賞、塚田千束さんによる、待望の第一歌集です!
目蓋なき瞳が我の内にあり生き抜くことを急かして止まぬ
食べ物と消毒液の混ざりあう生の匂いに溢れる病棟
また次も笑って会いたいかさついた指を何度も確かめている
しっとりと落ち着いた視点から日々の情景が描かれています。シリアスなテーマがありながらも、感情的にならず、冷静に語る中に大らかさを感じます。
納豆の棚だけがらんと明るくて明るいままの店内放送
三密を知らぬ土筆に吹く風よ人の世ばかり騒がしき日々
われらみなさびしき島だ名を知らずたがいにひとみの灯をゆらしつつ
納豆と店内放送、三密と土筆など、意外な取り合わせも多いのですが自然に、むしろ魅力的な景色が想像できてしまう凄みも感じました。
遠き空よぎる鳥みなうつくしく輪郭だけはただしく生きよ
煙草ひとつわけてもらえばこの春の行く先揺れる煙あかるく
誰ひとり死なない昼もあるようなアスパラを湯に放てば潮騒
会いたいと言えばそれまで健全なビールの泡に救われている
生きる中での厳しさ、希望、迷いや喜びなど、歌われるものは広く多様ですが、一貫して通ずる大らかさと味わい深さがあります。
本当は触れた人しかわからないなにもいえないすごい雪だよ
テーブルはいつもしずかに佇んでそうだねわたしもキッチンで寝る
なにもかも潮で錆びつく町にいて自転車を漕ぐ無茶苦茶に漕ぐ
読めば読むほど、世界が広がるようで、引きたい歌ばかりでした!是非、丸ごと味わっていただきたい1冊です!(よ)
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クロワッサンばさばさたべて白衣からうろこを落とすよう立ち上がる
もがく日々のうた。
医師として、母として、娘として、妻として。
2021年第64回短歌研究新人賞受賞作「窓も天命」を含む第一歌集。
我のこと何ひとつ知らぬひとと居てつむじきりりと立つ診察室
あらっても洗っても砂がこぼれだす子を産む前の我を見失う
誰ひとり死なない昼もあるようなアスパラを湯に放てば潮騒
きらめかず傷つきやすき肌をもち鱗に生んであげたらよかった
先生と呼ばれるたびに錆びついた胸に一枚白衣を羽織る
装幀=加藤愛子
挿画=中島梨絵
【著者プロフィール】
1987年 北海道に生まれる
2016年 短歌結社「まひる野」入会
2019年 第64回まひる野賞受賞
2021年 第64回短歌研究新人賞受賞
まひる野会、ヘペレの会、ランデヴー 所属
(短歌研究社)
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