池田澄子『此処』



◆内容紹介
口語を駆使した俳句で人気の池田澄子が、80代を迎えて直面したのは
親しい句友、そして伴侶の死。
亡き師へ、友へ、夫へ――語りかけるように、優しく切なく真っ直ぐ言葉で、
この世の「此処」から放つ380句。
前作『思ってます』以後、待望の第七句集!


◆「あとがき」より 俳句を詠むその時の思いは、この地球に何故か生まれたマンモスの、狼の、
金魚の菫の人間の、偶然に生まれ合わせたもの同士の偶然の出会いと別れの、
その数知れぬことの一つとして書こうとした。
少なくともペンを持っているときの私の大小の悦びや嘆きは、
此の世に在る万物の思いの一つであった。


◆『此処』12句抄
初蝶来今年も音をたてずに来
私生きてる春キャベツ嵩張る
桜さくら指輪は指に飽きたでしょ
大雑把に言えば猛暑や敗戦日
ごーやーちゃんぷるーときどき人が泣く
玄関を出てあきかぜと呟きぬ
散る萩にかまけてふっと髪白し
粕汁の雲のごときを二人して
偲んだり食べたり厚着に肩凝ったり
この道に人影を見ぬ淑気かな
生き了るときに春ならこの口紅
柚子の皮刻み此の世よ有り難う


◆著者紹介
池田澄子(いけだ すみこ)
1936年、鎌倉に生まれ、新潟で育つ。
30歳代の終り近く俳句に出会う。1975年、「群島」入会のち同人。
1983年より三橋敏雄に私淑、のち師事。
「俳句評論」を経て、1988年「未定」「船団」入会。
1995年「豈」入会。
2020年3月、「トイ」創刊に参加。
2020年6月、「船団の会」散在。
句集に、『空の庭』『いつしか人に生まれて』『ゆく船』『たましいの話』『拝復』『思ってます』『現代俳句文庫29・池田澄子句集』。
散文集に、『休むに似たり』『あさがや草紙』『シリーズ自句自解1・ベスト100』。
対談集 に『兜太百句を読む・金子兜太×池田澄子』。

現在、「トイ」「豈」所属

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