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菅原百合絵『たましひの薄衣』

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ほぐれつつ咲く水中花――ゆつくりと死をひらきゆく水の手の見ゆ

満を持して刊行される、菅原百合絵待望の第一歌集。


人間が荒れ狂う今世紀にこのような美しい歌集が生まれたことをことほぎたい。
────水原紫苑

静謐で深い歌の探求が続けられていたことに胸を打たれる。
────野崎歓

【収録歌より】
ネロ帝の若き晩年を思ふとき孤独とは火の燃えつくす芯
たましひのまとふ薄衣(うすぎぬ)ほの白し天を舞ふときはつかたなびく
水差し(カラフ)より水注(つ)ぐ刹那なだれゆくたましひたちの歓びを見き
一生は長き風葬 夕光(ゆふかげ)を曳きてあかるき樹下帰りきぬ
「わたしの夫(モン・マリ)」と呼ぶときはつか胸に満つる木々みな芽ぐむ森のしづけさ

【著者プロフィール】
菅原百合絵(すがわら・ゆりえ)
1990年生まれ。東京出身。「東京大学本郷短歌会」「パリ短歌クラブ」元会員(現在いずれも解散)。「心の花」会員。パリ・シテ大学(旧パリ第七大学)博士課程修了。専門は18世紀フランス文学。

(書肆侃侃房)

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