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正岡豊『白い箱』
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1990年に『四月の魚』を刊行、穂村弘らの称賛を浴びた著者。33年の沈黙を破って上梓する第二歌集。
この歌集には、昭和最後の男の児の声が充満している。そもそも私にとって正岡豊は、〈沼になる寸前をきみにみられてしまう〉や〈鷹としてふいにけむりをさけるかな〉の俳人なのだ。感傷の欠片も無く、地獄の機械【インファナル・マシン】のように美しい正岡の俳句を人間化したのが『白い箱』の短歌だ、と私は理解した。当否は知らない。(高山れおな)
きみのはだかが輝かないくらいランプだったことをきみは知っていたか
韻律がぼくを忘れた夕暮れにきみはわらびもちぶらさげてくる
細胞膜はあっても細胞壁はないわたしとあなたでのぼるやまなみ
星がひいたおみくじのなかにウスバカゲロウの羽根で出来たのが二枚
コッペリア ティアラ カチューシャ チュチュ ドレス シューズ 砂漠に咲く赤い花
(現代短歌社)
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